多過ぎる休日、少なすぎる休暇、何でも貯める日本人

 日本の休日は世界一?

 2018年でみると一般的企業の休日は、祝祭日17日(世界一)+週休二日で98日(104日‐祝日とのダブリ分6日)+年末年始約5日+お盆休暇約5日=125日、さらに、有給休暇が上限20日付与される、長年働いて、繰り越し上限前年付与の20日間を繰り越した場合、その年に欠勤とはならずに休み、休める日数は165日。実に年間日数の45%、約5か月を休むことができるのだ。

 繰り越し分を含めての完全消化は極端としても、当年付与の20日間は一般に消化する人が多いので145日は休んでいる人が多い。

 有給付与日数についてはプレジデントによると日本は世界で11番目、フランスやスペイン、ブラジル、オーストラリア等は30日で、いずれも消化率は100%。この3国はそもそも休日が9日程度と少なく、有給で休む文化だ。アメリカは休日は10日、有給は19日消化率70%と意外に休んでいない。

 

 このような中で今、一般的に日本人は働きすぎとの共通認識がもたれ、「働き方改革」なるスローガンのもと労働時間短縮が叫ばれている。改革の中身によるが、働き方の多様化という観点から時短を考えてみると、企業と当該従業員個人との関係を見た場合には労働時間短縮につながるが、一方個人から見た場合兼業が可能な場合は個人の意思でいわゆる過剰労働と言われるほどに働くことが出来る。働き方の自己選択の幅を増やすということは意欲をもって一般的なものよりも過剰に働くことも可能だし、困窮により過剰に働かざるを得ないことも可能だということになる。

 そうなれば働き方改革は一方で経済振興と働きたいだけ働くことを可能にしようという意図もあるように思える。

 

 このように考えていくと休日が多いことは働き方改革には足かせになるのではないか。

そもそも休日とは基本的に社会全体が休むもの。経済活性化の為に休日を増やすべきという主張がある。確かに休日によって混雑する場所、活性化する場所はあるが、平日に比べ外へ出て活動する人数は圧倒的に少ない。家でゴロゴロやネット遊びが中心だろう。

 経済は人口と人間の移動回数や距離との乗数に比例する。

 人が働きに出る方が交通費や飲食代金など圧倒的に消費は進むのだ。

 経済の活性化、平準化、混雑緩和、家族と過ごす時間の確保を求めるのであれば、多すぎる休日を減らし、少なすぎる休暇の消化を勧め、学生、生徒にも有給休暇と同じような有登休暇(登校したとみなす休暇)を設ける方が良いだろう。

 極端な話をすれば、公共機関は年中無休、基本的に休日は国家の文化に不可欠な必要最小限とし、有給休暇は30日以上付与、合理的理由なく有給消化を妨げる場合は罰則が適用されることもあるというような制度が良い。

 

 「働きすぎ」という一つの固定概念をベースに全体を考えるのではなく、「働かなすぎ」の人もいれば、「働けない」人もいる。そして「もっと働きたい」人もいるのも事実。若くてもっと働きたいという時期はめいっぱい働くべきだ。 

 

 日本人は何かにつけて貯蓄する。有給もまた繰り越し限度いっぱいまでは貯めこもうとする。見事に年度末に調整する達人は多い。納屋に豆や漬物をいざという時の為にため込んでいた母を思い出す。ため込むのは日本人のDNAだ。

 老後の備え、タンス預金と同様「貯めなくても大丈夫だよ。」という休暇制度と、国の将来に対する信頼感がカギだ。 

 

2018.1