北海道時間のすすめ 夏時間じゃない

 北海道に限った訳ではないが、全国の旅をしていつも、とても勿体ないアンバランスを感じていることがある。

 画一的な考えやルールが失っているビジネス機会と楽しみについてだ。

 

 日本列島は南北に長いというが、正確に言えば南北2,845キロ、東西3,142キロだそうだ。(うきうきExpress より)

 とてつもなく広い。

 

 この広い日本列島の日の出日の入り時刻を見てみよう。

 夏至の稚内   日の出3時45分 日没 19時26分(昼間 15時間44分)

 冬至の稚内   日の出7時11分 日没 15時54分(昼間 8時間43分)

 夏至の与那国島 日の出5時59分 日没 19時40分(昼間 13時間41分)

 冬至の与那国島 日の出7時28分 日没 18時05分(昼間 10時間34分)

 当然のことながら北半球では、夏は北へ行く程昼間が長く、冬は北へ行く程逆に夜が長い。

 何と、稚内の昼の長さは夏冬で7時間、与那国島では3時間、4時間も違うのだ。

 時差があっても当然なぐらいの幅があるのだが、日本は明石標準時刻を唯一の時刻としてこの広範な国土全域に適用している。このこと自体には特にもったいないアンバランスは無いのだが、問題は、会社や学校、役所の開始時刻、お店の開店時刻、ホテルの朝夕食時刻等など、あらゆるものが全国統一で9時17時を基本に動いていることだ。

 

 よく全国の道の駅や温泉を利用する。夏は朝4時~5時には起きる。同じように道の駅で車中泊をした旅行者(近年は初老の夫婦、ペット連れの夫婦等が多く目につく。)の皆さんが起きだし、散歩や洗顔、朝食をした後、旅の情報交換などをしながら道の駅のオープンを待つ。買い物や道の駅スタンプの押印を待つのだが、道の駅のオープンは通常10:00が多い。(9時、9時30分の所もやや増えてきた。)

 いくら何でも、起きてから6時間もやることがないのは苦痛だ。どこかへ観光に行こうと思っても観光施設も開店前だからだ。

 睡眠をとり、疲れも癒えて、朝の準備も整って、最も行動できる時間帯にやることができ無いのだ。これほどの無駄はない。

 限られた時間の中で旅をしている旅人も多いことだろう。もしも、夏季、道の駅や観光施設が朝6時から開いていたなら、買い物や朝食等など経済的効果もあるはずだ。そして旅人は早めに次の観光地に移り、そこで楽しみお金を落とすこととなる。

 夏季の北海道は、北海道にとっては稼ぎ時、旅行者にとっては遊び時、開店6時の北海道標準を設定すべきだ。

 

 そして夜、これもしかり、まだ陽が高い、たっぷり遊ぶつもりでも施設は17時で閉館だ(18時の所も増えてはきている)。道の駅に着き、これから就寝まで買い物や飲食などをしようにもすでに閉館。せめて19時まで開いていてほしい。ここでもまた、ビジネスチャンスと楽しみが失われる。閉店19時の北海道標準を設定すべきだ。

 

 すると問題になるのが人手。働くときは働くのが当然なのだが、厳粛な労働時間管理が全国、全季節画一的に適用されるのでそうもいかない。学生のアルバイトをフル活用しよう。

 日本中の学生が夏は北海道で住み込みのアルバイトを行う文化を創ろう。そういう学生のために、市営住宅や町営住宅をフル活用。学生は夏休みの半分をアルバイトし、半分はその金で北海道旅行、金は北海道に落ちる。この間若者は友達を作り、恋人を作り、中には将来の移住を考える若者が出てくるかも知れない。移住トライアルの機能もはたす。

 

 一方冬の北海道、夜明けは7時過ぎ、起きて朝の支度をしてそして開店準備、旅人の数も客数もかなり少ない。何も、9時に開店する必要は無い。10時あるいは11時開店でも充分ではないか。閉店時間も何も17時、18時まで開けておく必要は無い。15時閉店でもすぐに日没だ。

 

 夏の間にたっぷり働き、その蓄えで冬を過ごす。昔からの北海道の過ごし方の基本だ。ビジネスの全国化、グローバル化で9時17時という全国統一ルールに合わせざるを得ない面があるのは理解したうえで言うが、実際のニーズとのズレが季節によってビジネスチャンスの喪失と顧客満足度の低下を招いている部分があることは否定できない。観光については顕著に見受けられる。

 本当の効率化、本当のおもてなしについて考える上での一つの重要な要素だと思う。

 

 2020年の東京オリンピック以降も北海道が魅力ある世界の観光地であるために。北海道独自の夏ルール、冬ルールを創設しようよ。ねえ、皆さん。

 

2018.7