消費税と軽減税率②

 10%への消費税増税期限が迫ってきて、またぞろ軽減税率だ。 

 

 2016年4月に「消費税と軽減税率」を書いた。増税延期を歓迎した。軽減税率の導入可否を十分に議論する時間が出来たと思っていたからだ。

 

 だが今回、再開した軽減税率論議を聞いていると、この二年間は何だったのだろうかと思う。社会的な負担ばかりが多く、増税の効果を大きく縮めてしまう軽減税率の導入可否を十分に論じるのではなく、どのように導入するか、その場合い生じるであろう事態に対する個別対応策を考えていただけのようだ。

 

 世の中は日々常に変わっている。この二年間様々な新しい商売や新しい決済方法や新しい購入方法、消費方法が生まれてきているのだ。当然、二年前に想定した軽減税率の対応方法では間に合わない。さらに複雑な際限のない地獄の策に落ち込んでいくのだ。

 

 この軽減税率は、増税時に対応しただけでは終わらない。日々新しい事態に対応するため、導入時と同じような労力が制度が存在する限り続くのだ。

 

 誰が一番儲かるのか? 税理士、弁護士、学術経験者、役人、IT企業、・・・・・・。これらの職種は軽減税率景気に沸くだろう。一方大変なのは企業だ、消費税は預かっているだけなので、売上にも資金繰りにもプラスにはならない上に複雑な処理に対応するための直接コスト、人的コストは馬鹿にならない。

 庶民は、得をしたように見えるが得した分は税金だ、増税効果が圧縮された増税結果、さらなる税率アップという形で付けは来るだろう。

 

 今回の増税は軽減税率など導入せず、全てを財政健全化など本体的効果に集中させるべきなのだ。

 救済の必要があるものはまったく別な制度として立法すればよい。短期的な世間の受けを意識して大切なものを見失うのはわからない。消費増税が何のためなのか、ますますわからなくなってきた。

      

2018.11