国家的危機でわかる政治家の本当の役割

布マスクが1世帯に2枚配られるそうだ。「冗談か」と思ったが、おそらく

我々が考えるよりより深い国民の為の考慮が隠されているのであろう。それを聞きたいものだ。

それまでは、この事柄が我々に様々な考えるきっかけをもたらしたととらえ安倍首相とそのブレインスタッフに感謝したい。

 

国家的危機において政治家の向かうべき視点とは何であろうか?

「民主主義が生み出す独裁者」に書いたが、国民の願望の本質は何かというと安全と安心。

それらが自分たちの政府により担保されていると感じる限り、人は(特に日本人は)忍耐することが出来る。

危機において国民が忍耐できるのは、そのような努力を国がしていると感じ信頼を維持しているときだ。

 

国民の国に対しての信頼が緩むと、たとえ危機の事後に経済回復の為にお金を配っても、また経済が回復したとしても国民は貯蓄行動に回る。日本人の国民性は、「多すぎる休日少なすぎる休暇、何でも貯める日本人」に書いたように、貯めるDNAがあるのだ。

日本の漬物は将来の食糧不安に備えるDNAが具現化した一つの文化だ。

 

今回のような危機では、忍耐、工夫、思いやり等の国民の優れた能力を減退させないための、信頼に結びつくような方針発表と行動が必要となってくる。

 

今回の危機での当面の対応の中での気になる一点

最近になって雇用助成金の拡大方針が示されたため雇用維持については一応の対応が期待できるが、

他の当面の支援について

「大企業には出資、中小企業には貸付、票田には現金給付」と理解されそうないくつかの策が噂された。これが本当とすれば、

=「選挙は弱者の為に、当選後は富めるものの為に」と何かで書いたことがあるが、一部の政治家の言動から感じられるのはこの言葉そのものだ。

今の一部の政治家が持っている意識の本音、視点の本質であるのだろう。

・大企業はコストがかからず自己資本を国からプレゼントされ財務内容が好転する

・中小企業は、回復の目処が無い中で無利子無担保とはいえ借金は増え財務内容が悪化するため危機終息後の資金借り入れに不利になる。

・個人にとって当面の生活の足しにはなるが、不動産の家賃や公共料金の支払いに消える可能性は高い、貸主や大企業に一番うれしい。また、住民税非課税世帯限定という支給対象は生活保護との関係はどうなってしまうのだろう。

・芸術家や個人事業主等についての視点はそっくり欠けている。

 必ずしもそんな意図ではないかもしれない。

「大企業が潤えば皆が潤う」というこれまでの政策理論そのものをやっているだけだというかもしれないが、これまでの政策が必ずしもそのスローガン通りの結果を出していないだけに、信頼に結びつく政策とはならないのではないか。

 

通常(近年)の政府は平時のキャパシティしか有していない。

賛否があるが本当の軍事的危機に十分なキャパシティを持っているのは米国くらいのものだ。

同様に今回のような危機に対応できるだけのキャパシティは備えていない。「無駄」の考えが狭い視点で力を持ち、必要な余裕をそぎ落としてしまっていたからだ。

従って、現存の制度の大半は平時の時間的な余裕のある時に適合した仕組みだ。それは平時には有効に機能するが、緊急を要する危機においては機能しないむしろそれに拘って守ろうとすると邪魔になる場合もある。

 

政治とは平時は民間の自然な動きを傍観し、行き過ぎるような場合にその制御調整に入るべきで、平時に民間の活動に口を出し、あるいは先頭になって民間業者のように振る舞う必要は無い。

危機においての備えは平時には無駄に映るものだ、しかし長い目で見れば必要なもの、通常無駄と見られているような必要だ。その備えをすることが政治だ。

そういった意味では、税金は保険に似ている。掛け金である税金は、命の為に必要な社会インフラの構築維持と有事の際の国民保護、国家保全の為に主に使われるべきものだと考えると予算編成に一つの柱が出来て納税の納得がいく。

 

危機は往々にして時の政府の能力を超える。その時に、何を先送りし、何を使わず、何に集中するかを考える必要があるが、それは何処に視点を置いて考えるかによって大きく変わる。そしてその視点の置き方は、いつも心底何に向かって政治をしていたかが表に現れてくる。

今の危機に対する対応は3.11の民主党政権時の混乱と大差なくダブって見える。

 

 政治家の深層心理は言葉にはあらわれないことが多い、言葉には繕いや自己顕示等が入っている。

行動には心底思っている私欲、友欲、仲間欲等の視点が滲んで出るものだ。心に浮かぶブレの要因、外部からのブレにつながる情報は意識して排除しなければならない。

 国民の安心安全を純粋に考えている場合にのみブレずにできることだ。

 

今、安倍首相以下議員も官僚も頑張っていることは間違いない。その姿を見ながら医療従事者の皆さんは大変な思いで戦をしている。中小企業は耐えている。「早めに目処を付けてくれるはずだ」「それまでの忍耐を支えてくれるはずだ」と祈りながら。

能力のキャパを超えた余裕の無い中では視点が定まらず本来のあるべき視点からどんどんズレが生じてくることはよくあることだ。

視点について常に大きく外れて行かないようにコントロールするブレインが必要だ。

日頃より、少しずつ視点がずれて行っていることに気づきながら、おっしゃる通りと言う方ばかりの環境を作ってはいけない。

それには、話が飛びすぎに聞こえるかもしれないが、中選挙区制への復帰が日本では必要だ。過去の欠点を修正して新しい中選挙区制を導入すべきだ。

 

今回の危機、国民国家の安心、安全の為に必要なことをまとめると、

直近の待ったなしで進めるべきは、

・ワクチン開発、治療薬の発見開発への取り組みの状況と目処の発信

・終息後の世界の絵と、常態回復シナリオ

・今ある資産、資源、資金を忍耐期間に投入しても大丈夫という補償

・無症状、軽症感染者病床の確保(ホテル、東京ドーム、東京ビッグサイト、幕張メッセ、東京国際フォーラム、景色のよい海辺のコンドミニアム、等など)

・医療及び関連作業のボランティア募集

この危機をきっかけとして必要となる長期将来の安心安全に向けて進めるべきは

・中選挙区制の復活、

食料、資源、エネルギー、基本部品の内製化

・技術資産を育み蓄積するための投資奨励

 

今の2世3世の政治家よ、底辺、どん底の窮地の経験が少ないから大変だろうが頑張れ!

そして、いでよ!若く辛酸をなめた創業政治家よ。

 

2020.4