国縫駅(瀬棚線分岐の駅)

 JR北海道函館本線 有名な長万部駅から二駅函館寄りに「国縫駅」がある。

 今は駅前もすっかり寂れ乗降客も一日平均10人以下となっている。

 

 この国縫駅もかつては重要な交通要所として重用された分岐駅であった。

 昭和7年の瀬棚線全通から昭和62年の瀬棚線廃線までの半世紀、太平洋(噴火湾)と日本海を結ぶ拠点として存在感を示し、急行列車の停車駅でもあった。

 

 今回は私の郷愁の念が、国道5号線 国縫駅入り口の交差点を折れ国縫駅へと足を運ばせたようだ。

 かつて、オヤジと一緒に札幌へ行くために国縫駅前の簡易宿泊所で仮眠しながら函館本線ニセコ越えの重連蒸気機関車をまった駅だ。もっと大きく石炭の匂いが充満していたような気がする。そして記憶が定かではないが駅の立ち食いソバの匂いもあったような気がする。

 

 今はひと気のない待合室、時刻表は一日上下各6本。ホームから向かいホームへ昔昇った階段をギシギシ踏みしめながら渡ると、通路のガラス越しに蛾が飛んでいる。たまたま通過した貨物列車はあたかも駅の存在に気付いていないかのように、スピードを緩めず通り行く。

貨物列車が通った後は蛾の羽音でも聞こえそうな程の静けさに戻る。

 もう一度待合室に戻ると昔懐かしいチッキにつけていたような荷札を見つけた。旅の思い出にとの旅行者へのプレゼントだった。国縫駅に思いの強い旅客と地元の人の思いをつなぐ赤い荷札、ありがたくいただいた。

 駅を出た正面の2件の家、どちらががオヤジと泊った宿泊所であっただろうか。